フロスト入門

 ミステリーファンがフロストと聞けば、間違いなく連想するのは、R.D.ウィングフィールドが作り出したフロスト警部だろう。その輝かしい業績は以下の通りである。

 何と言ってもこのシリーズの魅力は、主人公フロスト警部にある。世にいう名警部とは正反対で、下品でジョーク好き、いきあたりばったり。しかし、その行動力と持ち前の強運によって、右往左往しながらも最後には事件を解決してしまう。そして、この破天荒なフロスト警部に襲い掛かる事件につぐ事件。別々の事件は、見事に絡み合って終局へと導いてくれる。
 文句なしに面白い作品であるが、そのページ数は、500〜700ページぐらいある。もっとも読み始めると止まらないのだが、初めての人には抵抗があるだろう。そんな人にお薦めの短編集が発売になった。
 『夜明けのフロスト』(光文社刊)である。短編集の中の一編に表題の作品が載っている。およそ100ページぐらいなので、試しに読んでみるには最適だろう。興味を持たれた方は、ぜひ一読して欲しい。

夜明けのフロスト (光文社文庫)

夜明けのフロスト (光文社文庫)