ドワ・Tの一日

 日曜日だというのに仕事だ。しかも、TRPGのお誘いを受けていただけに、とても悔しい。さらに夜を担当している人が急に休みを入れたので、閉店までの勤務になった。さすがに一日の大半を仕事に費やすのもバカらしいの昼から出社。
 食事交代のため、レジを見ながらのんびりと仕事をしていると、外から不穏な言葉が聞こえてくる。
「やはり、警察にいったほうがいいな」
 興味を惹かれて外を見ると、10才ぐらい女の子を連れた、30才ぐらいのおっちゃんが歩いていた。
 そして10分後、そのおっちゃんがレジにやってきて「青い服を着た6才ぐらいの男の子を見なかったか」と言う。私が「見ていない」と言うと、すぐに去っていった。
 いままでの情報から、迷子にでもなっているのかなと空想していると、今度は警官がやってきた。彼は、おっちゃんと同じことを言って、さらに詳しいことを教えてくれた。どうも、この店の前ぐらいで男の子がいなくなったらしい。そのため、店内を確認したいとのこと。了解を出すと5分ぐらい店内を見て回って、やはりいなかったことを告げて去っていった。その後、何の音沙汰もなかったが、男の子は無事に見つかったのだろうか?
 まあ、そんなことを気にしつつも、のんびりと仕事をし。6時に晩御飯を食べに外出。そして、7時ぐらいに店へ帰ってみると、店の外に警官がいるではないか。しかも、今度は4人。近づいて、よーく観察してみると、どうも店ではなく前の道路で事故が起こったらしい。車とバイクの接触事故のようで、その当事者と思われる人たちが、警官から事情聴取を受けている。幸いなことにけが人はなかったようで、軽かったようだ。それから、30分後ぐらいには、いなくなっていたが、バイクだけは残されていた。ブレーキのチューブが切れていたので、乗って帰れなかったようだ。
 そして、またのんびりと仕事しながら閉店時間を迎えた。シャッターを下ろしていると、店内に男が飛び込んできた。あっけに取られて見ていると、奇怪な言葉を吐きながら、雑誌を読み始める。その男は30才ぐらいで、手に子供が持つおもちゃの拳銃を持ち、頭にはTV関係者が付けていそうなマイク付きのバイザーを被っている。見るからに変な人だった。恐る恐る近づき、声をかけても返事はなし。それでも、めげずに声を大きくしながら、2度3度と声をかけた。そうすると突然体をびくっとさせ、再び奇怪な言葉を吐きながら、外へ出て行った。やはり、変な人だった。
 なんか色々あったが、実害は無かったので、平穏な一日だった。まあ、話のタネにはなったのでよしとしよう。