ミステリー式のミスリード

 今回のシナリオで使ったテクニックも合わせて併記。本格ミステリーを読んでいると、真相が解けずに最後の謎解きで驚くというのはよくあることではないだろうか。それには、ちゃんと理由がある。それは、著者によってミスリードが行なわれているからだ。
 一例を挙げよう。事件が発生し、その謎にAという答えがしめされたとする。そして、それに合うような展開があり、登場人物の行動や言動が合っていれば、当然Aという答えは正しいと思うだろう。しかし、これは見方を変えることで、Bという答えを導き出せるようになっている。これがミスリードだ。むろん、GMもプレイヤーに与える情報を吟味し、それを巧みに操ることで同様のことを行なうことができる。
 このテクニックの利点は、真相を明らかにしたときに、プレイヤーに納得されやすいことだ。何故なら、既に説明を行っているため、プレイヤーの頭にも情報が残っており、それゆえに矛盾を感じくにくい。そして、TRPGでは小説とは違い、読み返しができないため、真相を気づきにくい。
 今回のシナリオでは、クライマックス寸前の重要NPCの会話でそれを行なった。会話ではバッドエンドを示唆していたが、別の見方をするとトゥルーエンドへのヒントも提示してあったのだ。今回は気づかずにバッドエンドに向かったが、感想戦の際にトゥルーエンドへの条件を教えたら、プレイヤーはそれに納得してくれた。
 まあ、機会があれば、一度お試しあれ。