GMに最も必要なもの

 TRPGというジャンルが確立し、それ以降コンシューマー(TVゲーム)のRPGがそれを再現しようと多くの試みを行ってきた。現在においてもそれを追い求めているのかは分からないが、少なくとも未だにTRPGを完全に再現できるRPGは生まれていない。この差こそが未だにTRPGが遊ばれている重要な要素であるのは疑いようもないだろう。つまり、GMによる『判定』こそがTRPGをTRPGたらしめているのである。これはルールブックに書いてあるものも当然として含むが、むしろ書かれていない判定を指す場合がほとんだ。TRPGではプレイヤーがいかなる行動を取るかの予測は難しい。それに対して柔軟かつ適切な『判定』を行う必要がある。例えば、シナリオに書いていない解決法を取ってきたなら、それが妥当であるか、その場合はどのようなルール処理を行うのかを『短時間』に決めなくてはならない。しかも、そのパターンに限界はないときている。まだまだ、コンピュータの処理能力では再現不可能だろう。ただ、最も必要なものでありながらも、その点が評価されることはない。ミスをするとこれほど顕著に悪く言われるところもないのだが、うまく処理しても当然と思われている現状である。熟練のGMはこれを行うために、雑多な知識を持ち、的確な判断力を兼ね備えているであろうに……。この特殊技術が評価されないのは不憫でならない。